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知っておきたい屋根形状!代表的10種類の特徴と風土に合った選び方

今お住まいになっている家の屋根が、どのような形状をしているかきちんと確認したことはありますか?
「何となくこんな形かな」と思い出せるけど、詳しいことはよく知らないと言う方も多いかと思います。

屋根の形は、その建物のイメージや印象を決める大切な物です。
外を歩いているとさまざまな形状の屋根が見られますが、その中でも代表的な形状の種類は10種類です。
おしゃれに見える屋根、どっしりとした和風建築の屋根など、それぞれに特徴があります。

ここでは、これから家を建てる予定の方やリフォーム予定のある方には、ぜひ知っておいていただきたい、屋根の形状に関する情報をまとめました。

目次

屋根のもつ役割とは?

屋根の役割をひとことで言い表せば、「家を守る」ということでしょう。
屋根が無ければ、雨や雪が直接建物の外壁にあたり、その塗装や建材の劣化につながります。
さらには、建物の寿命を縮める原因になってしまいます。

雨だけではありません。
毎日照りつける直射日光や紫外線、近年の酷暑までも屋根は遮ってくれています。
また、冬になれば屋根のあるおかげで寒さからも遮断され、建物内部はあたたかく過ごせます。
結露などができないように、適度な通気性も確保する役割も果たしています。

これらのことから、屋根には以下の3つの性能が求められます。
①防水性
②断熱性
③通気性

これらの役割は建物を守るだけでなく、私達が快適に過ごせる空間作りに大きく関わっています。

代表的な屋根の形状10種類

屋根にはさまざまな形状がありますが、よく見かける代表的な形状は10種類です。

①切妻屋根
②寄棟屋根
③方行屋根
④入母屋屋根
⑤片流れ屋根
⑥はかま腰屋根
⑦差し掛け屋根・招き屋根
⑧越屋根
⑨陸屋根・フラットルーフ式無落雪屋根
⑩バタフライ屋根・スノーダクト式無落雪屋根

それぞれの形とメリット・デメリットについて紹介します。

①切妻屋根

日本で、最もよく見かけるのが切妻屋根です。
外観の特徴は、三角屋根で本を開けそのまま置いた形に見えます。
とても単純な造りですが、勾配の高低により屋根裏もつくることができて通気性も良く、なんと言っても雨漏りのリスクが大変低いといったメリットがあります。

切妻屋根に降った雨は、左右の面に流れ落ちるため水はけが良いです。
そのため、雪の多い地域では切妻屋根の建物がよく見られます。
最近では屋根に太陽光パネルを設置することが多いようですが、屋根の面が広いため安心して設置できるのも強みです。

メリット
  • 雨漏りのリスクが低い。
  • 太陽光パネルが設置できる。
  • 通気性が良い。
デメリット
  • デザイン性はあまり無し。

②寄棟屋根

屋根の頂点に「棟」がある形状が、寄棟屋根になります。
切妻屋根に似ていますが、異なる点は頂点にある大棟から四方に隅棟が下げられており、屋根面が4面あることです。

4面の屋根により耐風性が高くなるため、台風の多い地域や強風が吹く地域、海の近くに向いています。
棟が増えて丈夫になる分、つなぎ目が増えて雨漏りのリスクも高まってしまうのが弱点です。

メリット
  • 屋根面が4面あることで風に強い。
デメリット
  • 棟が増えることでコストが上がり、雨漏りのリスクも高くなる。

③方行屋根

「方行」または「宝形」屋根とも表され、寄棟屋根の中に分類されています。
寄棟屋根との違いは、屋根の頂点に大棟はなく、隅棟だけで三角形の屋根面の頂点が一点に集まる形ということです。
ピラミッドを想像していただくと分かりやすいですね。

寄棟屋根よりは雨漏りのリスクが少なく、風に強い利点があります。
主にお寺や神社などで見かける形状ですが、建物が正方形である必要がある屋根形状です。(建物が六角形、八角形の場合もあります)

メリット
  • 耐風性に優れている。
デメリット
  • コストが高くなる。

④入母屋屋根

入母屋屋根は、切妻屋根と寄棟屋根の長所を合わせた特徴をもち、一目で立派な家だと分かる高級な住宅で見かける形状です。
最も格式高いといわれており、古くから寺社仏閣にも用いられてきました。

和風建築の代名詞にもなり、日本瓦がよく合う美しさです。
屋根が多いため外壁は強固に守られ、屋根の役割である耐風性・断熱性・通気性すべてにおいて優れています。

一方で、形が複雑で屋根が重く、雨漏りと耐震性に不安が残る面もあります。
地震が起きた際に、建物が屋根の重みに耐えきれず、押し潰された映像がニュースなどで流れていました。

また、施工には高い技術が必要で、そのためコストは他の形状よりも高めとなってしまいます。
実際に、メンテナンスやリフォームのできる職人が減少しているのも問題となりつつある現状です。

メリット
  • 屋根の持つ役割をすべてクリアしている。
  • 屋根が多いため外壁が守られる。
  • 外観も美しい。
デメリット
  • 複雑な造りで、技術が必要。
  • 雨漏りのリスクがある。
  • 耐震性に不安が残る。
  • コストが高い。

⑤片流れ屋根

どちらか一方にだけ傾斜がある形状が、片流れ屋根です。
シンプルでスタイリッシュなデザインのため、近年では最も人気があります。
屋根面がかなり広く、太陽光の設置効率が良いことと、傾斜の無い側に窓を作って明るさを取り入れることも可能です。
屋根裏も広くとることができます。

その反面、屋根面が広いのが仇となり、耐風性が低くなってしまうのが難点です。
また、3面の外壁は屋根が降りていないため、雨や紫外線、直射日光を直に受けてしまい、汚れや色褪せ、劣化が早まる傾向があります。

雨漏りにも十分注意する必要があり、屋根と外壁のつなぎ目がきっちりと接合されていないと、隙間から雨水が侵入してしまう可能性があります。
雨樋にも負担がかかるため、こまめなメンテナンスも必要です。

メリット
  • スタイリッシュでおしゃれな外観。
  • シンプルな造りで、初期費用やリフォーム費用も抑えられる。
  • 屋根裏スペースがつくれる。
デメリット
  • 風に弱い。
  • 雨漏りのリスクがある。
  • 3面の外壁は日常的な負担がかかりやすい。

⑥はかま腰屋根

ベースとなる切妻屋根の妻側に、屋根上部から斜めに切り取りした三角形の小さな屋根がついた形状です。
別名は、隅切りや半妻切りと呼ばれています。
斜線制限など、規制がある場所で用いることが多い形状です。

メリット
  • 斜線規制をクリアできる。
  • 屋根面は広いままのため、太陽光パネルが設置できる。
デメリット
  • 小さな三角形の屋根が取り付けられるY字の部分には、雨漏りのリスクがある。

⑦差し掛け屋根・招き屋根

差し掛け屋根と招き屋根は、よくセットにされています。
2階建ての建物で、1階が2階よりも広く造られている建物によく見かける形状です。

差し掛け屋根…1階部分についている屋根のこと。
招き屋根…2階の大屋根部分で切妻屋根の片方をずらした形状で、一方が短くもう一方は長い形をした屋根のこと。

1階部分に差し掛け屋根があることで、1階への雨水の侵入を防ぐことができ、耐風性も高まります。
招き屋根は片側の外壁に窓を設置し明るさと通気性も確保し、屋根裏をつくることが可能です。

片側の屋根はかなり広くとれるため、太陽光パネルの設置を考えている方にも向いています。

メリット
  • 耐風性が高くなり、雨水の侵入を防ぎ、通気性も向上する。
  • 太陽光パネルの設置が可能。
  • コストは安い。
デメリット
  • 屋根の接合部が増えるため、雨漏りのリスクは高まる。

⑧越屋根

屋根の上に小さな屋根が乗っている形状の屋根を、越屋根と呼びます。
和風建築に多く、古民家にはよくある形状です。
小さな屋根は、古民家内部にある囲炉裏からの煙抜きにもなり、冬場には採光がとれてトップライト変わりにもなります。

メリット
  • 通気性が良くなる。
  • 建物内部が明るくなり、天井までの高さが上がることで新しい空間が生まれる。
デメリット
  • 屋根の接合部が増えるため、雨漏りのリスクは高まる。

⑨陸屋根・フラットルーフ式無落雪屋根

陸屋根は、屋根が平らで傾斜はありません。
ビルの屋上のような形状と言えば、分かりやすいですね。

デザイン的にはモダンですが、水はけには注意が必要です。
また、建物と屋根の間には空間がなく、直接太陽の熱を受けることになります。
そのため、最上階は断熱性が低くなり、室内の温度は高まる傾向があります。

太陽光発電のパネルを設置するには十分な広さを確保できますが、パネルを南側に向けて置くための架台が必要となります。

メリットとしては、自宅に屋上をつくることができ、バルコニーやベランダ、家庭菜園とさまざまな使い道ができる点にあります。
また、傾斜がないために掃除も簡単に済ませることができます。

メリット
  • 掃除やメンテナンスが楽にできる。
  • 屋上を好きなように使える。
デメリット
  • 傾斜がないために、断熱性に欠ける点と水はけの悪さには注意が必要。
  • 太陽光パネル設置には架台が必要。

⑩バタフライ屋根・スノーダクト式無落雪屋根

名前の通りに、蝶が羽を広げているように見えることから、バタフライ屋根と呼ばれています。
屋根の中央が低い形状で、スノーダクトなどを設置して排水処理を行う必要があります。
雪の多い地方に向いた屋根で、雪降ろしの際に起きやすい転落事故を防ぐことができます。

外観が個性的なため、周りとは違う珍しい形にしたい方に人気です。
屋根面の広さから、太陽光パネルも設置できます。
ただ雪の重みから屋根が傷みやすく、定期的にメンテナンスが必要です。

メリット
  • 個性的な形状。
  • 太陽光パネルの設置ができる。
デメリット
  • 雪の重みで屋根と樋が傷みやすい。
  • 定期的な掃除とメンテナンスが必要。

屋根に使われる素材

次に、使用される屋根材についても簡単に紹介します。

スレート

最近ではセメントに繊維素材を混ぜて固めた、化粧スレートが屋根材の主流となっています。
カラーベスト、コロニアルなどの呼び名で知られていて、新築のほとんどに使用されている手頃な屋根材です。

軽くて耐震性があり、カラーバリエーションも豊富です。
それでいて扱える職人も多く、価格も安いのがメリットでしょう。

デメリットとしては、ヒビ割れしやすく防水性が低いために、放置すれば苔やカビが生えてしまいます。
ただし、定期的にメンテナンスをすれば問題ありません。

日本瓦

和風建築によく似合うのが日本瓦です。
粘土を焼成して出来ており、和型(J型)、平型(F型)、スパニッシュ型(S型)の3種類があります。

昔ながらの瓦は、耐久性があり、断熱性や遮音性も優れています。
しかし、重量があるため屋根に負担をかけてしまうのが難点です。
阪神淡路大震災を教訓に、軽い瓦も製造されるようになりました。

落ち着きがあり、日本らしさを見せてくれる日本瓦は今でも根強い人気があります。

セメント瓦

セメント瓦は、セメントに砂と水を入れて混ぜ、型に入れて瓦の形に形成したあとに塗装を施しています。
形と色のバリエーションが豊富な点と、耐火性に優れた点は高評価です。

しかし、日本瓦に比べ、定期的にメンテナンスを行わなければなりません。
塗装が剥げると防水性が無いために、瓦の割れと雨漏りの原因になってしまいます。

石粒付ガルバリウム

ガルバリウム鋼板の表面を、石粒でコーティングした屋根材です。
メリットは多く、傷がつきにくく錆びにも強い、表面の石粒により断熱性があるなどの特徴があります。
雨の音を防ぐことに加え、防火の働きもしています。

これだけのメリットがありますが、コストが高くなってしまいます。

気をつけなければいけないことは、石粒が剥がれて樋に落ち、詰まりの原因になってしまうことです。
樋の掃除は、忘れずに行ってください。

トタン

鉄を亜鉛でメッキした屋根材です。
コストは低く抑えられますが、メッキが剥げると劣化が激しく、サビや割れが生じてきます。

見た目も悪くなり、長く使用するのには向いていません。
雨の日は雨音も大きく、防音性は期待できません。

アスファルトシングル

日本ではまだまだ広く知られていませんが、アメリカやカナダなどではよく使われている屋根材です。
アスファルトにガラス繊維を混ぜて、細かい天然石を張り付けています。

薄さ約6mmのシートで、仕上げ材に防水シートが使われているため、ルーフィングに穴を開けずに専用の接着剤で貼り付けることが可能です。
シートのため軽くて柔らかいのが特徴で、デザインも豊富にあります。
「サビや割れにも強い」といったメリットもあります。

デメリットとしては、強風には弱く剥がれてしまうことがあるため、台風などなどがよく通過する地域には向いていません。
しかし新しい屋根材として徐々に浸透してきており、リフォームの際にはアスファルトシングルを選ばれる人も増えています。

風土と気候から見る屋根形状の向き不向き

屋根の形状には見た目も違いがあるように、その形状がもつ特色にもすべて違いがあります。
屋根の役割を最大限に発揮するためにも、形状によっては使える屋根材や向いている地域に違いが出てきます。

屋根の勾配が必要な屋根材

瓦やスレートは、屋根に勾配がないと使用する事ができません。
これは、瓦には厚みがあるため、重ねていくと屋根の勾配が緩くなっていくからです。
そのために使用する素材には、○勾配以上という目安があります。

気候と風土で形状が決まる

日本は、北と南絵で気候や風土が大きく異なります。
そのため、地域にあった屋根にも違いが見えてくるのです。

たとえば雪の多い豪雪地帯ならば、切妻屋根や片流れ屋根が向いています。
屋根に雪が積もったままになっていると、屋根自体にも負担がかかりますよね。
突然積もっていた雪が軒にドサッと落ちてしまえば、もし人がいた場合は大惨事を招いてしまうことが考えられます。
そのため、雪が自然に落ちる形状の切妻屋根や、片流れ屋根が向いているのです。
雪が落ちるスペースがない時には、陸屋根やバタフライ屋根が用いられています。

暑さ対策にも屋根の勾配が関係しており、比較的大きな勾配(急勾配)の屋根形状の方が有利です。
勾配がきついと直射日光から建物を遠ざけられ、内部への熱を遮断してくれるからです。
逆に海岸に近い場所や台風が多い地域では、風の影響を受けにくい形状で屋根の勾配も緩めにされています。

気候に合わせた形状選びはとても大切なことで、建物を守ることは命を守ることにつながっているのです。

屋根の形状をリフォームするときにはここに注意!

大切なマイホームなので、「気に入った形状にリフォームしたい」と考える方もいるでしょう。
しかし、「屋根の形状はコレにしよう」と決めたとしても、実際に使用するにはクリアしなければならない条件があります。

例えば、以下のような制限です。

  • 高さ制限
  • 斜線規制
  • 日影規制
  • 隣地斜線

そして、屋根の形状や組み方、使用する屋根材により、固定資産税が変わる場合もあります。
複雑な構造になるほど資産価値が上がってしまい、固定資産税にも影響がでる可能性があるのです。

お住まいになっている地域に規制があれば、その範囲内で納めなければなりません。
後々になってご近所とのトラブルに発展してしまうことも考えられるため、念入りに調査して規制の有無を確認してくださいね。

屋根のメンテナンスのことも辻塗装までご相談ください

屋根には、建物を保護するといった大きな役割があります。
この役割を果たすために、屋根形状をはじめ屋根材など様々な部分に工夫が凝らされています。

しかし、屋根材が劣化してしまっては、屋根がしっかりと建物を守ることができなくなってしまいます。
毎日安心してマイホームで暮らすためにも、屋根のメンテナンスは定期的に実施することが大切です。

もし、屋根の劣化が気になるようでしたら、私たち辻塗装までご相談ください。
辻塗装では、外壁塗装だけでなく、屋根塗装や陸屋根、ベランダの防水工事など、屋根のメンテナンスにも豊富な経験と実績があります。
屋根の劣化状況を見極め、あなたのお宅に最適なメンテナンスをご提案致しますので、お気軽にお問い合わせください。


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