スマートフォン版を表示

外壁塗装で行われるケレン作業の重要性やチェックポイント

外壁塗装の工事で用いられる、「ケレン作業」という用語をご存じでしょうか。
工事の見積書の中に記載されていて、気になったという方もいらっしゃるかもしれません。

ケレン作業は、外壁塗装工事の工程の1つで、下地処理に含まれるものです。
工事の中でのメインの作業は塗装と思われるかもしれませんが、実はこのケレン作業の仕上がりが塗装の成功のカギを握るというほど、塗装工事にとって重要な工程となります。

そこで、具体的にどんなケレン作業がどのようなことを行うものなのか、何のために行う作業なのかを知っておくと、塗装工事を依頼するときに役に立つことでしょう。
ここでは、外壁塗装で行われるケレン作業について詳しく紹介していきましょう。

目次

外壁塗装工事の作業の流れ

まずは、塗装工事にはどのような工程があるのか、どのような流れで作業が進んで行くのかを確認しておきましょう。

準備

足場設置・・・高い場所で安全に作業をするために、2階建て以上の建物の場合には足場を設置する。
高圧洗浄・・・表面についているほこりやカビ、古い塗膜などの汚れを落とす。
下地処理・・・ひび割れた場所の補修や、ケレン作業を行う。

塗装

下塗り・・・外壁材に上塗り塗料を密着させる目的や、塗料の吸い込みを無くすために基礎塗りをする。
中塗り・・・より滑らかな状態にして上塗りを塗りやすくする。
上塗り・・・美観をよくして、塗膜に厚みを持たせ耐久性を高める。

仕上げ

付帯部分・・・雨樋や雨戸、破風などの塗装を行う。
足場撤去・・・足場を撤去し、現場の清掃作業を行う。

ケレン作業とは

ケレン作業とは、塗装の工程の中の下地処理で行われる作業です。
塗装の前には、建物全体を高圧洗浄で綺麗にしていきますが、高圧洗浄では落としきれない汚れがあります。
この残った汚れを、手作業で綺麗にしていく作業をケレン作業と呼びます。

ケレン作業は、金属部分のサビ落としという意味合いで使われることもあります。
しかし外壁塗装工事では、大まかに表面の状態を整えて塗装しやすい状態にする作業を指すことが多いです。
そのため、「下地調整」とも呼ばれます。
金属に限らず、窯業サイディングやモルタルなど、どんな外壁材でも必要となる作業です。

戸建てのケレン作業の場合には、大がかりな電動工具を使うことはあまりなく、ほとんどが手作業で行われます。
ハンディタイプの電動工具や、細かい部分や特に念入りに汚れをとる部分は手工具を使って長い時間をかけて行います。

塗装をしてしまうと、下地の状態は見えなくなってしまうので、手抜きをしようと思えばすることもできてしまいます。
しかし、ケレン作業が丁寧に行われているかどうかは塗装の仕上がりや耐久性に大きく影響しますので、のちのち違いがでてきます。
手のかかる作業ですが、重要な工程です。

ケレン作業の目的

ケレン作業を行う目的は、大きく3つあります。

塗料の付きを良くする

塗料を外壁材に密着させることは、塗膜を長持ちさせるために大切なことです。
密着がうまくいかず、塗膜と外壁材の間に空気が入り込んでしまうと、塗膜はすぐに破れてしまいます。

塗膜が破れると浸水し、外壁材にダメージを与えてしまいます。
ケレンが不十分なまま塗装をすると、数年で塗装が剥がれてしまう可能性が高まってしまいます。

また、外壁材の中には塗料が付きにくい素材もあります。
破風や雨戸などの金属部分や塩ビ製の雨樋などは、そのままでは表面がツルツルとしていて、塗料が密着せず剥がれやすくなってしまいます。
そこで、ケレン作業で表面に凹凸をつけて塗料が付きやすい状態にすることで、剥がれにくくします。
このように、あえて表面を傷つけることを「目荒らし」と呼ぶこともあります。

塗料の性能を発揮できるようにする

古い塗膜やカビ・コケなどの汚れが残った状態で塗料を塗ってしまうと、汚れの成分が邪魔をして、塗料の本来の性能を十分に発揮できなくなってしまいます。
外壁にはサビ、塩分、ホコリなど多くの不純物が付いていますので、できるだけ取り除かなければなりません。

中でもサビは、残ったままにしておくと侵食が進み広がってしまうこともあるので、しっかり除去します。
金属系サイディングの外壁以外にも、建物には金属でできた部分が多くあります。
たとえば、雨戸、ベランダの手すり、雨樋の固定部材などです。
これらは、外壁塗装の工事の際に付帯部分の塗装として含まれる箇所ですので、丁寧にサビを落としてサビ止めや塗り替えを行います。

仕上がりを綺麗にする

塗装は手作業で行うため、塗料の塗りムラが起こりやすくなります。
滑らかな塗りやすい状態の下地を作っておくことで、ムラを防ぐことができます。

ケレン作業の内容

ケレン作業には4種類のレベルがあり、建物の状態によってどの作業を行うのかを選びます。
戸建ての場合は、3種または4種のケレン作業を行うのが一般的です。
状態が良ければ4種ケレンによる簡単な作業で済み、費用も安くなります。

サビが広範囲な場合や、塗膜に膨れが生じている場合には3種ケレンで対応します。

2種ケレンで対応しなくてはならないほど状態が悪いケースや、外壁の交換が必要なほど腐食が進んでしまっている場合には、多額の費用がかかってしまいます。
早めの点検・補修を心がけて、こまめにメンテナンスをしておくと、簡単なケレン作業で済ませることができます。

では、各種ケレンの内容について詳しく見ていきましょう。

1種ケレン

1種ケレンは、戸建てで使われることはありません。
1種ケレンは、橋や船などの鉄筋コンクリート造の大きな建造物で使われる方法です。

1種ケレンには、ブラスト工法やウォータージェット工法と呼ばれる工法があります。
ブラスト法では研磨剤を吹付けて研磨し、化学処理でサビや汚れを強力に取り除きます。
専用の大がかりな機械を使用するため、住宅街では使用することが難しく、1種ケレンが必要なほど状態が悪くなってしまった外壁は、外壁の張り替えを行うのが一般的です。

2種ケレン

2種ケレンは、鉄骨が多く使われている建物や、特に汚れがひどい状態の建物で使われる方法です。
目安としては、サビが建物全体の3割以下の場合は2種ケレンで対応可能です。

それ以上傷みがひどい場合には、外壁の張り替えを検討することになります。

ワイヤーブラシやディスクサンダーなどの電気工具を使って、全体的にサビを落としていきます。
古い塗膜はすべて除去することもありますが、劣化していない部分は残すこともあります。
残した塗膜は目荒らしをして、塗料が付きやすい状態にします。

3種ケレン

3種ケレンは、戸建てで最もよく用いられる方法です。
電動ブラシなどの道具を使いつつ、スクレーパーや皮スキを使って状態を見極めながら手作業でサビや汚れを落としていきます。
スクレーパーや皮スキは、金属製やプラスチック製の薄いヘラ状の工具で、剥がす作業やこそげとる作業に使われます。

さらに、サンドペーパーを使って全体を研磨します。
劣化してしまった塗膜は除去しますが、それ以外の古い塗膜は残します。

4種ケレン

4種ケレンは、戸建ての中でも、外壁の状態が良好な場合に使われる方法です。
サンドペーパーや、研磨用のスポンジで軽い汚れを落とします。
その後、ほうきで表面を綺麗にします。

見積書のチェック

ケレン作業は、塗装の仕上がりに大きく影響します。
そのため、見積書の段階できちんと工程に含まれているか、どの程度のケレン作業が行われるのかを確認しておきましょう。

ケレン作業は、レベルごとに費用相場が異なります。
例えば130㎡の外壁の場合には、レベルによって30,000~200,000円ほどの費用がかかってきます。

2種・・・1,500~2,000円/㎡
3種・・・600~1,000円/㎡
4種・・・200~400円/㎡

見積書の中に「ケレン作業」の工程が含まれており、相応の価格であれば安心でしょう。
ケレン作業の工程は、業者によって「素地調整」「下地補修」「表面処理」などの表現で記載されている場合もあります。
不明な場合は、見積もりを依頼した業者に質問してみましょう。

「工事一式」など、すべてひとまとめにされている見積書は、何にどの程度の費用がかかるのか判断できません。
このような大まかな見積書を提示する業者は、作業も大まかになってしまう可能性がありますので注意しましょう。
特にケレン作業のような、下処理の作業を念入りにしてもらえるかどうかを見極めるのは難しく、業者との信頼関係が大切になってきます。

ケレン作業のチェックポイント

ケレン作業は下処理のため、塗装後には作業の仕上がり具合を確認することができません。
実際のところ、作業の出来不出来は作業担当者によって左右される部分が大きいです。

そこで、ケレン作業が確実に行われているかきちんとチェックしなければなりません。
実は、丁寧なケレン作業が行われているかどうかを確認するには、いくつかポイントがあります。

スケジュールをチェック

工程表があれば、ケレン作業にどのくらい時間をとっているかを確認するとよいでしょう。
工程表がない場合には、担当者にスケジュールを確認してみましょう。
ケレン作業には最低1日は必要ですが、サイディング外壁の場合には、コーキング打ち替えをこのタイミングで行うことがあるので、2日以上かかる場合もあります。

外壁の状態によっても、ケレン作業にかかる日数が変わってきます。
4種ケレンであれば半日程度の作業になることもありますが、2種ケレンであれば数日間かかることもあります。
いつケレン作業を行うのかを確認できれば、作業の様子を見に行くこともできます。

写真で工程をチェック

丁寧な業者であれば、作業の途中経過を写真で撮影して見せてもらえることがあります。
ケレンの状態を、写真で確認できると安心です。

また、ケレン作業の前には、必ず外壁全体のチェックをして不良部を確認しておき、どのようなケレン作業が必要かを把握しているはずです。
作業前に、どのようなケレン作業になるかの説明を聞くとよいでしょう。

ケレン作業を重視するための業者選び

外壁塗装業者の中には、重要なケレン作業を簡略化したり、省いたりするような業者もいます。
質問に丁寧に答えてもらえるか、見積書をきちんと作ってもらえるか、といった最低限のポイントは押さえておきましょう。
契約を結ぶ前であれば、キャンセルすることはいつでも可能です。

判断がしづらい場合は、相見積もりをとるのも一つの方法です。
相見積もりで業者の対応や見積書の内容を比べてみることで、業者の良い点や悪い点が際立ってくることもあります。

訪問業者が訪ねてきて、外壁塗装工事を勧められたという方もいらっしゃると思います。
「あそこが傷んでいる」「このままでは雨漏りする」などと言われると不安になるものです。
そこにつけこんで契約を急がせるのは、悪徳業者の手口のひとつでもあります。

訪問業者のすべてが悪いわけではありませんが、勢いに任せて契約をしてしまうのは危険です。
本当に必要な工事なのか、見積りの内容は妥当か、落ち着いて検討しましょう。

地元で長年続いている業者であれば、それだけ地元の方々の信頼を受けている証拠といえます。
質の悪い仕事をしてしまうと、評判が落ちてしまい、地元では続けていけなくなってしまうからです。
地元での施工実績などをホームページで確認し、参考にするのも一つの手です。

信頼のおける業者であれば、ケレン作業で手抜きするということは考えにくいです。
高額な外壁塗装工事なので、急いで契約を進めるよりは、ひとつひとつ確認しながら安心して頼める業者かどうかを見極めることが大切です。

品質の良い外壁塗装工事なら辻塗装にお任せください

塗装工事においては、ケレン作業が非常に重要な役割を果たします。
ケレン作業は下準備の工程で行われるため、完成後の見た目にはその違いはほとんどわかりません。
しかし、ケレン作業を怠ると数年後には塗装が剥離してしまうなど、耐久性に大きな違いが出てしまうのです。

ケレン作業は外壁の状況に合わせて臨機応変に行うため、手作業に頼る部分が大きく、とても手間のかかる作業です。
しかし、誠実な業者であれば面倒な作業であったとしても、重要性をよく理解しているので、丁寧に作業をするでしょう。
見えない部分だからこそ、業者選びが重要になってきます。

もし、品質の良い外壁塗装工事を実現したいのなら、私たち辻塗装にご連絡ください。
辻塗装では、目視や打診調査などを事前に行い、必要なケレン作業を塗装前にきちんと把握したうえで作業を行います。
住宅だけでなく、ビルや学校も手掛けた経験を持つ、優秀な職人が塗装工事を行いますので、安心してお任せください。


辻塗装へお問い合わせ