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美しい左官仕上げの外壁塗装に仕上げるコツと注意点

左官仕上げの外壁は、高級感があり美しいですよね。
世界に一つしかない手作りの外壁は、ほっと和むような温かみがあります。

左官仕上げは昔ながらの工法ですが、その良さが最近見直されています。
モダンな現代の外壁デザインと調和しやすいことも、人気の理由なのではないでしょうか。

左官仕上げには、使われる素材や仕上げ方法に多様な種類があります。
また、サイディングとは違ったデメリットや施工の注意点もあります。
ここでは、左官仕上げを成功させるためのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

目次

左官仕上げとは

左官仕上げとは、塗り壁の外壁の仕上げ方法のひとつです。
一般的な外壁塗装は、職人がローラーで塗料を平らに塗っていく方法が主流です。
一方、左官仕上げでは職人がコテを使って、模様をつけながら塗装の仕上げをします。

日本古来の建築では、壁の仕上げには漆喰や珪藻土を使った左官仕上げが主流で、神社や寺院などの建物にもよく見られます。
長く続く歴史の中で、道具や技術が工夫され発展してきました。

たとえば、塗り壁の一種であるモルタル外壁の場合、下地の上にモルタルが塗られており、その上に塗装がされています。
塗装の種類には二つあり、吹付けによる塗装方法と、左官仕上げと呼ばれるコテを使った塗装方法があります。

左官仕上げを行う職人を「左官職人」と呼びます。
左官仕上げは、最終的なデザインを職人による手作業で仕上げるため、熟練した技術が必要です。
代々受け継がれた技術を用いて、塗り上げていきます。
近年ではサイディング外壁が主流になっているため、左官職人は少なくなりました。

そのため、昔ほど左官仕上げを見かけることが無くなりました。
ですが、サイディングのような既製品とは違い、好きなようにデザインできるなど魅力にあふれており、根強い人気があります。

塗り壁の種類

左官仕上げを行う塗り壁には、いくつかの種類があります。

土壁

土壁は、土をベースに藻や藁、砂を混ぜて作られた自然素材の素材です。
土壁には温かみがあり、素朴な雰囲気を醸し出します。

日本では、昔から外壁材として使われています。
江戸時代にはお城や蔵、一般住宅まで広く使われていました。
原料が土のため、耐火性に優れており、調湿効果が高く日本の気候に合っています。

土壁は需要が減ってしまったため、施工できる職人が非常に少なくなっています。
そのため、工期が2~3か月と長いことがデメリットです。

モルタル

モルタル外壁は、セメントと砂と水を混ぜ合わせてできたものです。
防水性が低いため、表面に塗装を施します。

モルタルは、戦後に外壁を防火仕様とすることが求められたことにより、昭和の中後期に建てられた戸建ての外壁の主流となりました。
施工が容易で、仕上げのバリエーションが豊富なことで人気があります。

現在は最盛期よりは減ったものの、一定の割合でモルタル外壁の住宅が建てられています。
モルタルの左官仕上げでは、「ジョリパット」や「ベルアート」といった塗料が使われています。

漆喰

漆喰は、石灰をベースに、スサと消石灰、ノリなどを混ぜ合わせてできたものです。
日本の伝統的な建築では、外壁の仕上げ材に漆喰を使うものが多く見られます。
外壁に使われる漆喰は、ほとんどが白系の色をしています。

漆喰の特徴のひとつとして、高い耐久性が挙げられます。
漆喰は空気中の二酸化炭素を吸収しながら、ゆっくりと硬化していく性質があるため、適切なメンテナンスをすれば、100年以上の耐用年数があると言われています。

珪藻土

珪藻土は、植物性プランクトンの死骸である珪藻が化石となり、できた土がベースとなっています。
日本では、古くから建物を仕上げる素材として使われてきました。
珪藻土だけでは固まる性質がないため、固化剤を添加して使用します。

珪藻土には無数の小さな穴があり、調湿作用に優れています。
耐火性も高く、1000℃の高温にも耐えられます。

左官仕上げのデザイン

左官仕上げでは、職人の手作業でつくられるため、無数のデザインがあります。
その中でも、一般的によく使われる代表的なデザインをご紹介します。

コテ波

うっすらとコテの跡を波型につけるデザインが、コテ波です。
コテで塗った跡をあえて平らにせず自然に残すため、比較的容易でよく見られるデザインです。
主張が強すぎないシンプルなデザインは、どんな外観にも似合います。

コテの跡の強弱や幅などは職人により違いがあるため、事前に細かくリクエストを伝えておくとよいでしょう。

ハケ引き

ハケ引きは、ブラシなどの刷毛を横に引くことで、横縞模様をつけるデザインです。
ブラシの硬さや目の粗さを変えることで、縞の太さなど仕上がりパターンを変えられます。

スタイリッシュな雰囲気は、シンプルモダン風の外観に似合います。

おうぎ

コテを使って半円を描き、扇形にするのがおうぎです。
等間隔に均一な模様をつけるのが難しく、技術が必要なデザインです。

和風建築や、シックな印象の外観に似合います。

スタッコ

コテを押し付けるようにして、ざらざらとした凹凸模様をつけるのがスタッコです。
スタッコは「漆喰」の意味があり、もともとはヨーロッパ建築の外壁によく使われていたデザインです。
日本でも比較的古くから用いられてきましたが、最近では左官仕上げよりも吹付けて塗装する施工方法が多いです。

スタッコは、ナチュラル風や北欧風の外観に似合います。

左官仕上げのメリット

長く愛されてきた左官仕上げには、日本の建物に合った多くのメリットがあります。

オリジナルデザイン

左官仕上げは手作業によるものなので、幅広いデザインに対応できます。
たとえば、家族の手形をつける、天然石やガラスで装飾する、タイルやレンガを埋める、といったアレンジも可能です。

画一的なデザインではなく、他とはちょっと違うデザインにしたい場合にはおすすめです。

自然素材

漆喰や珪藻土を使った塗り壁は、その材料のほとんどが自然素材でできています。
自然素材は独特な風合いがあり、微妙な色合いや手触りに心地よさを感じます。
経年劣化しても味わいがあり、変化もまた楽しめるでしょう。

自然素材でできた材料は、将来的に廃棄することになっても処分に手間がかかりません。
そのため、処分費が安く済むメリットもあります。
再び土に帰ることができる素材は、エコの観点からも魅力的です。

防火性

セメントと砂を主成分としたモルタル、土を主成分とした土壁、炭酸カルシウムを主成分とする漆喰、二酸化ケイ素を主成分とする珪藻土、いずれも不燃性で防火性能に優れています。

住宅が密集している日本では、火事の際の延焼に対して十分な対策が必要です。
防火性能の高い素材を用いることで、火災のリスクを減らすことができます。

左官仕上げのデメリット

左官仕上げにはメリットが多いものの、デメリットもあります。
デメリットまでよく知った上で、検討するようにしてください。

耐久性

左官仕上げは、ひび割れが起こりやすいことがデメリットの一つとして挙げられます。
厚みを持たせて塗装をする左官仕上げでは、外壁材の収縮や地震の揺れに追従しきれずに、ひび割れてしまうことがあります。
小さなひび割れなら心配はありませんが、大きなひび割れは雨漏りの原因となることがあるので、補修が必要です。

左官仕上げの外壁では、定期的なひび割れのチェックは必須です。
適切にメンテナンスをすると、非常に長持ちさせることができます。

施工品質が安定しない

左官職人が減ってしまうと同時に、高齢化が進んでいることで、熟練した技術をもった職人に施工をしてもらうことが難しい場合があります。
また左官仕上げでは、「外壁の厚みが均一でない」「仕上がりが美しくない」「依頼したとおりのデザインになっていない」といったトラブルが起きやすいです。

左官仕上げを希望する場合には、業者選びは慎重に行い、入念な事前打ち合わせをすると良いでしょう。

施工費用が高い

塗料をローラーで塗っていく工法と比べると、ひとつひとつデザインしながら仕上げる左官仕上げは、塗装に時間がかかります。
そのため工期が長引きやすく、施工費用が高めになる傾向があります。

また、漆喰や珪藻土は、材料費も高くなります。
トータルで考えると、かなり割高になる可能性があります。

汚れやすい

外壁の汚れは、雨によって流されてある程度綺麗になります。
ところが、凹凸があると汚れや水分がたまりやすく、黒ずみやコケ、カビが生じてしまいます。

左官仕上げではデザイン上凹凸が多く、表面もざらざらとした質感が多くなります。
そのため、比較的汚れやすいのが難点です。

左官仕上げの外壁メンテナンス

左官仕上げの外壁を長持ちさせるためには、適切なタイミングでメンテナンスをすることが大切です。

ひび割れ

ひび割れは0.3mm幅以下のものであれば、それほど心配は要りません。
一方、大きなひび割れは補修が必要になります。

モルタルの場合は、コーキング材などの補修材を充填します。
漆喰は、重ね塗りをして補修する方法が一般的です。
珪藻土は水分を補充したり、追加の珪藻土をひび割れに押し込んで補修をします。

剥がれ

表面に施した塗り壁材が、剥がれてくるケースもあります。
剥がれを放置してしまうと、雨漏りの原因となってしまうので早めの対処が必要です。

モルタルの場合は、塗膜を剥がして再塗装をします。
漆喰や珪藻土の場合には、全体の塗装を剥がして下地の状態から塗り直しをします。

塗替え

モルタルの表面の塗装は、10年程度で劣化して役割を果たせなくなってしまいます。
そこで、定期的に再塗装をします。

表面に発生するチョーキング現象や、ひび割れ、剥がれ、色褪せが起きていたら、再塗装のタイミングです。
左官仕上げの模様はすべて剥がして、下塗りから行います。
凹凸が残ってしまうと新しい塗膜が密着しづらくなるため、凹凸がある場合にはモルタルを塗って平らにしてから塗装をします。

左官仕上げの注意点

左官仕上げで施工する場合には、次のような点に注意しましょう。

施工は天候の影響を受けやすいれに

左官仕上げによる塗装はとてもデリケートな作業で、気温や湿度に大きく左右されます。
特にデザインをつける上で、表面の乾くスピードや塗料の粘度が大事です。
表面の乾きすぎや、塗料が固すぎると模様がうまく付けられず、作業がスムーズに進まなくなってしまうからです。

余裕を持って作業ができるよう、工期を長めにとっておくとよいでしょう。

工期が長い

左官仕上げの作業では、手作業でひとつひとつ丁寧に進めること、しっかりと乾燥させながら塗り重ねていくことから、工期が長い傾向があります。
また、施工が終わった部分に対して、追加で養生をしながら塗り進めていくような場合にも、手間がかかります。

通常の外壁塗装の工期は数週間が目安ですが、左官仕上げでは1~2か月を目安に考えておいた方がよいでしょう。

職人や施工管理者とのコミュニケーションが重要

出来上がった時に「思っていたデザインと違う」という事態にならないよう、綿密に打ち合わせをする必要があります。
塗装を始める際には、実際に塗った箇所をみてデザインをチェックすると良いでしょう。
コミュニケーションを大切にする職人に依頼できれば、安心して任せられます。

左官仕上げにリフォームするには?

既存の外壁がサイディングなど塗り壁ではない場合、左官仕上げにリフォームすることは可能なのでしょうか?
結論を言うと、既存外壁をすべて剥がして、下地の状態から作り直すことで、左官仕上げの塗り壁に変えることは可能です。
ただし、外壁を剥がして作り直すのは大掛かりなリフォームで、費用は数百万円、工期も数か月規模となるでしょう。

もし、既存外壁の劣化が激しく張り替えなくてはならない状況なら、リフォームの選択肢として塗り壁を検討しても良いと思います。
しかし、まだそれほど劣化していない場合には費用の負担が大きすぎるので、専門業者に相談してみてください。

左官仕上げに関するお悩みも辻塗装にご相談ください

左官仕上げの外壁は、魅力にあふれています。
手作りの温かみがあり、継ぎ目のない美しさは、いまの時代のニーズに合っていて、最近注目度が上がっています。

左官仕上げは、職人の技量が成功を左右します。
左官仕上げを得意とする業者を探すため、色々な業者に相談した方が良いでしょう。
慎重に業者選びをして、外壁塗装を成功させましょう。

もし、福岡で外壁塗装のお悩みがあるのなら、私たち辻塗装が力になります。
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