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板張り外壁の魅力を保つ塗装とメンテナンス方法

板張りの外壁について、みなさんどのようなイメージをお持ちでしょうか?
「昔ながらの建物」「ログハウス」「手入れが大変そう」そんな声も聞かれます。

板張り外壁は、古くから日本の建物で採用されており、日本の風土に合ったメリットがたくさんあります。
少し前までは数が減っていましたが、和モダンデザインがじわじわと人気を上げており、板張り外壁の良さが見直されています。
最近では、町中でも板張り外壁の新築住宅を見かけるようになりました。

板張り外壁は、一般的な窯業系サイディングの外壁とメンテナンス方法が異なります。
ご自宅が板張り外壁という方は、「どんなタイミングで塗装をしたら良いか」「どんなメンテナンスをしたら良いか」気になりますよね。
板張り外壁のメリットやデメリット、正しいメンテナンスの方法について詳しくみていきましょう。

目次

板張りの外壁とは

板張り外壁は、本物の木材を使った外壁のことを指します。
羽目板や木質系サイディングと呼ばれることもあります。
細長い形に成型された板状の木材を、何枚も張り合わせて外壁が作られます。
張り方によって、縦張りと横張りがあります。

板張りは、昭和以前は一般的な外壁材でした。
しかし、戦後の住宅不足の中で、工場で大量生産できる窯業系サイディング外壁が重宝され、板張りは減少していきました。

ところが、少数となった板張り外壁が新鮮なイメージで受け入れられるようになり、和モダンブームとともに再び人気が上昇しています。
環境負荷の少ない素材であること、メンテナンスコストが低いことも人気の理由のひとつです。

板張り外壁と似たようなものに、木目調サイディングがあります。
木目調サイディングは窯業系サイディングの一種で、セメントや繊維質を加工して作られた表面に、木目調のプリントが施されているものです。
遠目に見ると板張りのように見えますが、近づいて見ると質感が異なります。
メンテナンス方法も板張り外壁とは異なり、定期的に行わなければいけません。

どちらが良いかは一概に言えませんが、それぞれのメリットデメリットを良く知った上で検討すると良いでしょう。

板張り外壁の素材

板張り外壁によく使われる素材として、スギやヒノキ、ヒバ、カラマツ、ハードウッドがあります。
価格帯で見ると、スギやカラマツは比較的安価で、ヒノキやハードウッドは高価です。

素材には、それぞれ異なった特徴があります。
古くから日本の建物で高級材として使用されてきたヒノキは耐久性があり、安心感があります。
ハードウッドはその名の通り強度が高く、100年以上の耐久性があると言われています。

また「焼板」と呼ばれる素材もあります。
焼き板は、スギなどの板の表面を焼き「炭化させた板」のことで、生板と比較して腐食しづらく耐久性が高い特徴があります。
板の表面を炭化させることで、木材が腐る原因となる微生物が繁殖しづらい環境を作ります。
30年以上手入れ不要と言われており、断熱効果が高いというメリットもあります。

しかし、加工されている分、生板に比べて費用が高くなる傾向があります。
とはいえ、炭化して炭色になった木材には独特の風合いがあり、シックなデザインの建物によく似合います。

板張りのメリット

板張り外壁には多くのメリットがあります。

自然素材の温かみを感じられる

近年は「自然素材へ回帰の流れ」があり、素材の持つ温かみや心地よさが注目されています。
なかでも、珪藻土や漆喰、無垢材といった、自然由来の建材は人気があります。
自然素材は新品の状態だけではなく、経年劣化によって少しずつ変化する姿にも美しさがあります。
年数と共に、見た目の変化が楽しめるので、飽きがこない素材とも言えます。

一般的な工業製品は、年数が経つとどうしてもみすぼらしい印象になってしまいます。
一方で、木材は年数が経っても風合いが保たれます。
また、周囲の山や畑などの自然環境とも調和しやすいのが特徴です。

メンテナンスが容易

塗装の状態や立地環境にもよりますが、適切な乾燥状態を保っていれば、数十年は大きなメンテナンスが不要です。

また、板を並べて作られているので、もし部分的に損傷しても、その部分だけを取り換えることができます。
窯業系サイディング材では、年数が経つと商品が廃盤になってしまうこともありますが、木材は廃盤を心配せずに済みます。

将来的に全面的な張り替えが必要になった際にも、板張りは扱いやすい外壁です。
そのため、撤去費用や処分費用が他の外壁材と比べて安価です。

デザイン性の高さ

最近人気の和モダンデザイン住宅は、板張り外壁を使うことでオリジナリティのあるおしゃれな外観に仕上がります。
外壁全体ではなく一部分に板張りを採用するだけでも、ぐっと洗練された印象になります。
また、板張りは和洋どちらとも相性が良く、いろいろなデザインへの合わせやすさも人気の理由です。

板張りのデメリット

板張りは、自然素材のためデメリットもあります。

防火性が低い

木は燃えやすい特徴があり、防火性能が低い外壁材です。
外壁材は火事の際の延焼を防ぐ役割を持っているため、防火性能は重要です。
板張りの外壁を採用したい場合には、国の指定した防火基準を満たしているかどうか、検討しなくてはなりません。

特に、都市部の住宅が密集している地域では、「準防火地域」「法22条指定区域」という、建築資材が限定されている場合があります。
このような場所では、板張りの外壁が使えないケースもあります。

しかし、防火性能の認定をとっている木材や、土壁などの燃えにくい素材と組み合わせて使うことで、防火基準を満たした板張りの外壁に仕上げることも可能です。
知識の豊富な業者に相談すると、希望を叶えることができるケースもあります。

環境が合わないと傷みやすい

木材は長時間水分に触れていると、腐ってしまいます。
そのため、板張り外壁は適切な湿度を保たなくてはなりません。
極端に通気性が悪い場所、日当たりが悪い場所、雨が当たりやすい場所は腐らないような対策が必要です。
腐った木材では、シロアリの発生も懸念されます。

木材は長時間水分に触れていると、腐ってしまいます。
そのため、板張り外壁は適切な湿度を保たなくてはなりません。
極端に通気性が悪い場所、日当たりが悪い場所、雨が当たりやすい場所は腐らないような対策が必要です。
腐った木材では、シロアリの発生も懸念されます。

設計の段階で、通気性や日当たりを確保する配慮、軒を長めに作るといった対策が有効です。
また、外壁に防水性能のある塗料で塗装をするといった方法もあります。

他にも、木材の反りや割れが発生してしまうこともあります。
反りや割れを防ぐには、できるだけ質の良い無垢材を使うことが大切です。

施工職人が限られる

板張り外壁の需要は、サイディング外壁と比較するととても少なく、扱っている業者が限られます。
塗装をする場合も、サイディング外壁と同じようには塗装できません。
塗装業者でも得意不得意があるため、板張り外壁塗装の経験が豊富な業者を探す必要があります。

板張り外壁のメンテナンス

板張り外壁には、適切なメンテナンスが必要です。
定期的なお手入れの他、不具合が起きた場合には、その都度対処しなくてはなりません。
ここでは、メンテナンスの具体例を挙げてみます。

塗装

サイディング外壁は防水性がなく塗装は必須ですが、板張り外壁は必ずしも塗装をする必要はありません。
使う人の好みで決めることができます。

極端に水分が過剰な状態が続くと板が腐ってしまいますので、そのような環境では塗装をして防水性を持たせた方が良いかもしれません。
また、数十年が経過して、表面がボロボロになってしまった板張りの場合には、着色をしてすっきりさせると美観が良くなることもあります。

このように、板に防腐処理を施したい、着色をしたい、防水性を高めたい、という場合には塗装をした方が良いでしょう。

カビ

適度な水分であれば蒸発するので、板張りの外壁でも水濡れに耐えられます。
水分が多いとカビが生えてきますが、それによって致命的な損傷があるわけではありません。
基本的には見た目の問題なので、カビによって色合いが変化することを許容できる方であれば、気にしなくても大丈夫です。

カビが生えた場合の対処方法は主に3通りあります。

一つ目は、カビ取り剤でカビを除去する方法です。
この場合、カビを除去することは可能ですが、同時に木の本来の色も漂白されてしまい白っぽくなってしまいますので、注意が必要です。

二つ目は、塗装をする方法です。
塗膜を形成することで、カビを付きにくくできます。
色を付けることで、カビを目立たせなくする効果もあります。
しかし一度塗装をすると、定期的に再塗装をしなくてはなりません。

三つめは、そのまま放置する方法です。
カビによって、木材が外壁の役割を果たせなくなるほど傷つくことはありません。
見た目の問題と割り切って、何もしないというのも一つの方法です。
板張り外壁は、時間が経つにつれ黒っぽい色に変化していくので、そのうちカビも目立たなくなります。

反り、割れ

板材は自然素材なので経年劣化をしていきます。
湿度や気温の変化に伴い収縮を繰り返し、反りや割れが起きてしまいます。
板が反ると、板を打ち付けている釘も浮き上がってきてしまいます。
特に、日当たりの良い場所は劣化のスピードが速い傾向があります。

反りや割れが発生した場合には、その部分の板だけを張り替えます。
張り替えが容易で、古い板材の処分にコストがかからないところが自然素材の良さでもあります。

塗料の種類

美観を良くしたい場合や、耐久性を向上させたい場合には塗装を行います。
板張り外壁の塗装で使われる塗料には、主に2つの種類があります。

一般的な塗料で塗装

サイディング外壁のように、シリコンなどの合成樹脂をベースとした塗料を塗る方法です。
基本的には、サイディング外壁と同じように塗装をします。
一般的な塗装は、着色をしたい場合に適した方法です。

サイディングと異なるのは、下地調整に手間がかかることです。
下地処理は、塗膜をしっかり密着させるための重要な工程です。
板材の場合は、表面がなだらかでないため、研磨や古い塗料を取り除く作業に時間がかかったり、反りや割れの補修に時間がかかります。

また、板材は塗料の吸い込みが多いため、塗料の量が増えます。
塗装する塗料が増えると、作業時間もその分多くなります。
発色もしづらい傾向にあるため、できるだけ試し塗りをして事前に色の確認をしましょう。

また、板材は収縮が激しいため、塗膜が剥がれやすく、5年程度を目安に再塗装をします。
塗料を選ぶ際には、耐用年数が高い高価な塗料を使っても、無駄になってしまいかねません。
再塗装までのサイクルが短いことを考慮して、塗料選びをすると良いでしょう。

木材に特化した塗料で塗装

せっかくの板張り外壁なので、木目を活かしたいと思う方も多いでしょう。
木目を活かしつつ、板材を保護したい場合には、浸透性のオイルステイン系塗料を使います。
浸透性の塗料は、剥がれる心配がありません。
再塗装の際にも、古い塗膜を除去する必要がなく手間がかからないメリットがあります。

一方、表面に塗膜が形成されないため、水をはじく効果はありません。
また、5年に一度程度、定期的に再塗装した方がよいと言われています。

オイルステイン系塗料は防カビ性や防虫性があり、木材を保護することができます。

板張り外壁の塗装費用の目安

サイディング外壁への塗装と比較すると、板張り外壁への塗装はやや高めの傾向があります。
下地処理に時間がかかることと、張り替えなどの補修箇所が多いことなどが理由と考えられます。

平均的な30坪程度の戸建ての場合、サイディング外壁の塗装は60〜80万円が相場と言われています。
一方で、板張り塗装ではプラス10〜20万円程度が目安とされています。
建物の立地や劣化状況、使う塗料の種類によっても費用は変わるので、業者に確認した方がいいでしょう。

板張りにリフォームはできる?

既存の外壁がサイディングの場合にも、板張り外壁にリフォームすることはできます。
もちろん、既存の外壁を撤去して一から張り直すことも可能ですが、カバー工法という方法があります。

カバー工法では、既存の外壁をそのままにして、その上から板張りを重ね張りします。
ただし、「既存の外壁に深刻な劣化がないこと」「重ね張りをした過重負荷に耐えられること」が条件です。
また、重ね張りをすることで外壁に厚みが出るため、窓やドアの周りには額縁を追加するなどの対応が必要です。

板張りの外壁のメンテナンスも辻塗装にご相談ください

日本で古くから採用されている板張りは、日本の風土に合った多くのメリットを持つ外壁材です。
また、適切な環境下では腐りにくい性質のため、メンテナンスが容易なことも魅力のひとつです。
防火性の低さや大量生産ができないことから、一時期は需要が減っていましたが、最近の自然回帰ブームの中で再び注目されています。

もし、板張りの外壁のメンテナンスでお悩みなら、私達辻塗装までご相談ください。
辻塗装は、創業から40年を迎えた、実績豊富な塗装専門店です。
豊富な知識と経験をもとに、あなたの住宅に本当に必要なメンテナンスをご提案することができます。
もちろん、ご相談やお見積もりやご相談は無料で承りますので、お気軽にお問い合わせください。


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