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外壁塗装で簡単にデザインが付けられるマスチック工法とは?

写真:ローラー

マスチック工法という外壁塗装の方法を、聞いたことがあるでしょうか?
外壁塗装の工法などは専門的なため、おそらくほとんどの方がはじめて聞いたかと思います。

しかし、実はURの住宅にも多く使用されている、意外と身近な塗装方法がマスチック工法なのです。
ここでは、そんなマスチック工法について、基本的情報を紹介していこうと思います。

目次

  • マスチック工法とは?

    マスチック工法は、一塗りで厚膜を形成することを目的として開発された省力化ローラー工法です
    専用の多孔質なローラーを使用することで、簡単に塗装を厚膜に仕上げることができます。
    昭和45年に、日本住宅公団と大手塗料メーカーにより開発された工法となります。

    これまでに無い新しい工法であったため、工法特許が取得されています。
    全国マスチック事業協同組合連合会が、認定資格制度などにより責任施工を実現しているので、安心して塗装を任せることができるのです。

    マスチック工法で使う道具

    マスチック工法では、専用のマスチックローラーを使って塗装していきます。
    マスチックローラーには大小様々な穴が設けられており、大量に塗料を保持できます。
    この特長により、塗料を厚く塗ることができるというわけです。

    また、マスチック工法では、厚塗りを実現するため粘度の高い塗料を使用します。
    粘度の低い塗料では、どれだけローラーが塗料を保持できたとしても垂れてくるだけなのです。

    粘度の高い塗料の塗装において、マスチック工法は非常に有効な塗装方法です。
    特に粘度の高い弾性フィラーなども、均一に美しく仕上げることができます

    マスチック工法の特徴

    マスチック工法は、ローラーで厚膜を形成する塗装方法です。
    一度塗りで厚膜を形成することにより、通常の塗装とは異なるメリットが生まれます。
    マスチック工法のメリットは、以下の通りです。

    耐久性のある塗装を実現できる

    マスチック工法最大の特徴は、一塗りで厚膜を実現できる点にあります。
    そもそもマスチックという名称も、英語で大きな質量を意味する「Mass」からきています。
    塗料を大量に付けることができることを意味しているので、厚膜を形成するのは得意なのです。

    厚膜を一度の形成することで、耐久性に優れた塗装を実現できます。
    外壁塗装は外壁材を保護する役割を持っているので、耐久力の高い圧膜は長期間建物を風雨や紫外線から守ることに役立ってくれるでしょう

    ゆず肌仕上げをローラーで実現できる

    ゆず肌仕上げとは、名前の通りゆずの皮の表面のような凹凸のある、外壁塗装の仕上げ方法です。
    凹凸のない仕上がりと比べ、高級感を演出できます。

    一般的な外壁塗装の場合、塗料はローラーで塗られていきます。
    ローラーで塗る場合模様は全くつかず、滑らかな表面に仕上げることができます。
    ただ、変化のないベタ塗りとなるので、「デザインとしてもの足りない」と感じる方もいるでしょう。

    マスチック工法なら、ローラーに設けられた大小様々な穴の模様が、そのまま塗膜の表面にも反映されます。
    美しいゆず肌仕上げが実現できることも、マスチック工法の一つのメリットといえるでしょう。

    塗料の飛散が少ない

    ゆず肌仕上げのような凹凸のある塗装を実現する場合、スプレーによる吹き付け工法が主流となっています。
    しかし、スプレーによる吹き付け工法は、塗料が広範囲に飛散してしまうという弱点があります。
    塗料が広範囲に飛散することで塗料が無駄になり、養生も大変になってしまうのです。

    一方マスチック工法なら、ローラー塗りで凹凸のあるゆず肌仕上げを実現できます。
    ローラーで塗る事で塗料の飛散を最小限に抑えることができるので、塗料のロスを減らすことができます
    また、養生も塗装面の周囲だけで大丈夫なので、最小限の労力で塗装を済ませることができるのです。

    塗料の飛散は、特に住宅密集地では近隣住民の方とのトラブルにも発展しかねません。
    近年、都市部などに人口が集まる傾向にあるので、塗料の飛散の少ないマスチック工法はより活躍してくれることと思います。

    マスチック工法の注意点

    厚膜が実現できるマスチック工法にも、注意点がいくつかあります。
    適さない塗料や状況がありますので、十分検討して最適な方法で塗装するようにしてください。
    マスチック工法では、以下の注意点に気をつけてください。

    粘度の低い塗料には使えない

    マスチック工法は、一度に大量の塗料を外壁に塗りつける塗装方法です。
    そのため、粘度の低い塗料には、基本的には使うことができません。

    粘度の低い塗料にマスチック工法を採用しても、ローラーが塗料を保持することが難しいでしょう。
    ローラーの穴から塗料が流れ落ちてしまうため、塗装も難しくなってしまいます。
    仮に塗料を保持できたとしても、外壁に塗りつけた途端に垂れてしまうことになります。

    採用する塗料によっては、マスチック工法を選択できないこともあるということです
    塗料にあった塗装方法を採用して、美しい外壁に仕上げなくてはなりません。

    平らな仕上がりにはならない

    マスチック工法で使用するマスチックローラーには、大小たくさんの穴が開いています。
    この穴の模様が塗装面にも移ってしまうため、平らな仕上がりはマスチック工法では実現できません。

    現在外壁材として最も普及している窯業系サイディングなどでは、均一で平らな仕上がりが一般的です。
    凹凸があるように見える場合もありますが、それはサイディングボード自体にデザインが施されているだけなのです。

    塗装としては、模様がある外壁材に均一についていることになります。

    むしろ、サイディングに施されている模様を活かすなら、マスチック工法は不向きといえます。
    余計な凹凸が付いてしまうため、サイディング本来のデザインを殺してしまうおそれがあるのです。
    サイディングの柄にもこだわっている場合は、通常の塗装の方が見た目を活かすことができるでしょう。

    マスチック工法はフィラーの施工にも好相性

    写真:塗装している男性

    マスチック工法がよく使われる施工の一つに、弾性フィラーの塗装があります。
    フィラーとは、下地の凹凸を平らにし、より美しくに塗装するために用いられる建材です。
    主に、モルタル外壁の細かなクラック補修や、段差や凹凸をなくすために使われています。

    多くのフィラーには、ひび割れを防ぐために若干の弾力がつけられています。
    塗膜が弾性を持つことで、加重に追従することができひび割れを防ぐことができるのです。

    弾性のあるフィラーは非常に粘度の高い塗料のため、マスチック工法との相性は非常にいいといえます。
    また、フィラーは膜厚もある程度必要なため、厚塗りが可能なマスチック工法が最も力を発揮することができるのです

    マスチック工法が可能なフィラーの種類

    マスチック工法にて厚塗りができるフィラーにも、いくつかの種類があります。
    基本的に、マスチック工法が可能なフィラーは4種類しかありません。
    それぞれの特徴を、以下で紹介しておきましょう。

    微弾性フィラー

    微弾性フィラーは、乾燥して硬化しても若干の弾性が残るタイプのフィラーです。
    弾力はわずかですが、クラックに追従するには十分な弾性があるため、外壁のひび割れをしっかりと防ぐ効果があります

    ただし、一般的な微弾性フィラーは、3年程度で弾力を失い硬くなってしまいます。
    10年以上弾力を失わない微弾性フィラーも存在しますが、その分値段は高額になります。

    微弾性フィラーは、現在最も一般的なフィラーとなります。
    そのため、仕上げ剤の種類も多く、好みの色やデザインを実現することができるでしょう。

    フィラーには4種類ありますが、基本的には微弾性フィラーを使っておけば問題はありません。
    むしろ、他のタイプのフィラーでは塗膜の膨れなどを引き起こすおそれがあるため、使用する場合は状況の確認が重要になります。

    弾性フィラー

    弾性フィラーは、微弾性フィラーよりも弾性が増しているタイプのフィラーです。
    目安としては、10年程度経過しても弾力を保っているものが当てはまります。
    微弾性フィラーよりも柔らかさが長持ちしますが、値段は倍程度に上がるので注意が必要です。

    弾性フィラー以上に柔らかい塗料は、湿気や高温により膨れてしまう可能性があります。
    外壁材を選ぶ上、塗装技術も必要になるので、採用する場合はリスクも考慮に入れて検討するようにしてください。

    高弾性フィラー

    高弾性フィラーは、弾性フィラーをさらに柔らかくしたタイプのフィラーです。
    フィラーの中で最も弾性があり、値段も最も高価です。
    弾力が持続する年数も最も長くなりますが、対応する仕上げ材が少ないため色などの選択肢が狭くなってしまいます。

    弾性が高くなるほど外壁材の割れには強くなりますが、同時に膨れのリスクも高まると言えます。
    どれだけ優秀なフィラーも膨れて剥がれてしまえば意味がないので、優良な施工業者にベストな選択をしてもらうことが一番と言えるでしょう。

    硬質フィラー

    硬質フィラーは、弾性が全くないタイプのフィラーを指します。
    全く弾力のないフィラーなので、ひび割れに対して追従することができません。

    硬質フィラーは、主に吹き付け工法のタイル吹きの下地として使われます。
    マスチック工法ではほとんど使われない上に一般的でもないので、あまりに目にする機会もないかと思います。

    マスチック工法での外壁塗装も辻塗装にお任せください

    マスチック工法では、塗料を厚く一度に塗り付けるため熟練された技術が必要です。
    もし、技術力のない業者に施工を依頼してしまうと、膜厚が不均一になり施工不良を起こす危険性もあります
    通常の塗装よりも難しい工法なので、確かな技術と経験を持つ優良業者に工事を依頼することが賢明でしょう。

    モルタル外壁の塗装の劣化が気になるのなら、私たち辻塗装にご連絡ください。
    吹き付け工法による塗料の飛散が気になる場合は、マスチック工法での施工にも対応いたしております。
    もちろん、熟練の職人さんが確実な塗装を実施いたしますので、まずは相談だけでもしてくださいね。


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